JFSS カニクロスルール
日本犬ぞり連盟(JFSS)カニクロスルール
2019年6月制定
総則《動物愛護とスポーツマン精神》
● JFSSカニクロスルールは、動物愛護とスポーツマン精神に基づき、安全かつ公平に運営される為のものである。
● 競技者は、トレイルを含むレースエリア内においてチームに属する全ての犬に対して、責任を負わなければならない。
● 競技者、参加チーム関係者は、常に動物愛護の精神とスポーツマン精神に基づき行動すること。
レースエリアやトレイル内で、上記の精神を損ないレースに悪影響を及ぼす行為を行ってはならない。
● JFSSルールと開催大会ルール(スペシャルルール)間に不一致がある場合は、開催大会ルールが適用される。
第1章 参加規則
1条 資格
1項 参加申込み
① レースの参加申込みは、レース開催前の主催者が定める締め切りまでに行う。
② 主催者は、正当な理由により参加申し込みを拒否できる。
③ 主催者は、JFSS会員でJFSS認定レースを行うのが望ましい。
2項 競技者
① 男女別、年齢制限を下記の通り定める。
①-1 ジュニアクラス(男性) 16歳~19歳
①-2 ジュニアクラス(女性) 16歳~19歳
①-3 エリートクラス(男性) 19歳~99歳
①-4 エリートクラス(女性) 19歳~99歳
①-5 ベテランクラス(男性) 40歳~99歳
①-6 ベテランクラス(女性) 40歳~99歳
①-7 ①-1、①-2のジュニアクラスよりも若い子供のクラスも開催できるが、公認種目としてではない。
② 競技者の交代は認めない。
但し、病気・怪我などの理由で交代する場合はレース開始前に主催者側に申し出、レースマーシャルが許可した際は
その限りではない。
③ 一度失格した競技者は、その後のヒートには出走できない。
④ 同じヒートを走行している競技者は定められた方法でお互いに助け合うことができる。
3項 犬
① 犬はその種類を問わない。
② 犬への虐待はいかなる場合も禁止する。
③ 主催者が不適当と認めた場合、エントリーを拒否することができる。
④ レースマーシャルが競技者、犬について危険又は、安全に走行することができないと判断した時は
スタートの直前でも失格とすることができる。
⑤ 一度失格した犬はその後のヒートに出走できない。
4項 防疫
① 会場には、伝染病が発生した犬舎からの、いかなるものも持ち込んではいけない。
② 主催者が定める獣医が競技会場内の犬を伝染病被患犬と診断した場合、そのチームは直ちに会場を退去しなければならない。
5項 犬の識別
① 2つ以上のヒートで構成されているレースでは、第1ヒートまでにすべての犬にマーキングする。
2条 禁止薬物
1項 犬に対して全ての種類の興奮剤、鎮静剤、鎮痛剤、コルティコステロイド、反プロスタグラジン、
サリチル酸塩を含む反炎症薬剤、反不安薬剤、アナポリックステロイド、痩せ薬、
その他全ての犬の心身に影響する可能性がある薬物の投与を禁止する。
又、公に管理制限されている物質の投与を禁止する。
2項 JFSS及び主催者は前項の禁止薬物について検出テストを行うことができる。
尚、競技者、若しくはチームオーナーは全ての投与薬物を申告する義務がある。
3項 薬物テスト
① 禁止されている薬物、薬物テストは、IFSSガイドラインのドーピングルールが準用される。
② 薬物テストで禁止薬物が検出された場合、そのチームは競技役員会の決議で失格とする。
③ そのチームは、薬物テストにおいて主催者の要求に答える義務があり、応じない場合は失格とする。
3条 用具
1項 安全性
① 競技者、チームは、主催者が認めた用具を使用しない場合は失格となる場合がある。
2項 ハーネス、ライン
① 犬は常にショックアブソーバー付きのタグラインで競技者とつながれなければならない。
② 競技者は、背面の幅が少なくとも7cm以上あるヒップベルト、又はハーネスタイプの用品でタグラインを
取り付けなければならない。
③ タグラインの長さは、拡張状態で犬のお尻から競技者のベルトバックルまで測定した長さが1.5m以上で、
最大2.5mとする。
3項 その他の用具
① 口輪の使用は禁止する。
② ムチ、棒などの、犬に危害を加えるものの使用は禁止する。
③ ゼッケンは主催者の用意したものを、レース中確認できるように着用する。
第2章 スタート・フィニッシュルール
1条 スタート順
1項 スタートの順はレース前、主催者によって決められる。
2項 主催者は任意のシード基準でシードすることができる。
3項 スタートの順は他のチームと交換できない。但し主催者が認める場合はこの限りでない。
4項 2ヒートで構成されるレースは次のとおりである。
① 第1ヒートは、主催者の発表順。
② 第2ヒートは、第1ヒートのタイムの速い順。
③ 計測結果に対する異議は一切認めない。
2条 同タイム
1項 同タイムで第2ヒートの出走順を決める際には、その第1ヒートの出走順の速いチームが後へ、遅いチームが先に出走する。
2項 犬の配置がどうであれ、同タイムのチームは同順位である。
3条 スタート
1項 競技者と犬は、スタート合図が出るまでスタートラインの後ろで待たなければならない。
2項 主催者が決めたスケジュールによってタイム計測が開始される。
電子計測の場合、チップからタイムを取得する。その際、レースマーシャルがチップを配置する場所を決定する。
3項 スタート時間にスタート地点にいないチームは遅刻となり、そのチームは最後のスタートになり、
指示された時間までスタートしてはいけない。
4項 2度目のスタートに遅刻したチームは、失格となる。
5項 次のチームのスタート時間までにスターティングシュートを通過しないチームは、失格となることがある。
6項 マススタートが採用される場合、すべての競技者は首輪やハーネスを掴んで犬を確保しながらスタートラインの後ろで
一列に待機する。
① 一列で待機出来ない場合は、必要に応じて列をさらに追加する。
② シードチームがある場合は、その他のチームより前の列に待機させることとする。
6項 主催者への計測方法、記録への異議は認めない。
5条 フィニッシュ
1項 先頭犬の鼻先がフィニッシュラインを通過した時点でゴールとする。
その他の計測方法は、すべての競技者、又はチームリーダーが、スタート前に適切な方法を公式に知らされている
場合に限り認められる。
2項 競技者の手から離れた犬(ルーズドック)がゴールした場合、競技者がフィニッシュラインを通過した時点でゴールとする。
3項 デュアルスターティングシュートがフィニッシュシュートとして使用されている場合、チームはどちらのコースに
戻っても良い。
4項 主催者が定めたゴールエリアには、犬と競技者以外は立ち入ることを禁止する。
6条 時間制限
1項 主催者が定めた地点を、定められた時間内で通過できないチームは失格とすることができる。
2項 前項の規定が適用される場合は、主催者は参加者に計測地点・設定時間・適用クラスを告知しなければならない。
第3章 トレイルルール
1条 トレイルの作り方
1項 チームは、主催者の設定したコースを走行しなければならない。
2項 チームがコースアウトした場合、コースアウトした地点に戻り、復帰することができる。
3項 トレイル標識(以下の各号を設置することが望ましい。)
① 右折 トレイルの右側に赤い標識
② 左折 トレイルの左側に赤い標識
③ 直進 青い標識
④ 注意 黄色い標識
⑤ スタートエリア(スタートライン後方30m以上)トレイルの両側に標識
⑥ ゴールエリア (フイニッシュライン前方20m以上)トレイルの両側に標識
⑦ 追い越し優先権無し地域「No-Right-Of-Way-Zone」を設定する時は、フィニッシュラインから150m~800mの地点に
「No-Right-Of-Way-Zone」の始まりを示す標識を設置する。
⑧ 追い越し優先権無し地域「No-Right-Of-Way-Zone」は、約3m以上の均一幅で自由に追い越しができるように作られる。
2条 走行
1項 競技者は犬の前を走って整調してはならない。
2項 競技者は、途中で犬を放棄してはならない。
3項 犬を引っ張ったり、強制的に前進させることを固く禁じる。
4項 犬が不調になったり、何らかの理由で前進を拒否した場合、チームはその時点でリタイヤとなる。
3条 トレイル上の補助
1項 ハンドラー、観客の補助。
① 競技者以外いかなる者も、チーム、犬に対し誘導、先導、呼び込みを故意にしてはいけない。
又、走行に支障をきたす妨害行為はこれを一切禁じる。
② ハンドラー、観客がトレイル内に立入、競技者、チームの補助をすることは、基本的にはタグラインの保持だけとする。
2項 レーススタッフ(競技役員)の補助
① レーススタッフは全てのチーム、犬、競技者に対して公平に接し、対処する義務がある。
② レーススタッフはチームがタングル、用具の修理、修繕のために止まっているときは手助けをすることができる。
4条 犬が競技者から離れた場合
1項 競技者の対処
① 競技者は犬に対して責任を持ち自力で犬を確保することに努めなくてはいけない。
② 競技者から離れた犬が、他のチームの妨害をしてはいけない。
③ 犬が競技者から離れた場合、即座に確保できれば、レースを再開できる。
④ 犬がドライバーから離れた場合、外部からの決められた手助けを受けたチームでも完走した場合は、完走と認める。
⑤ 外部からの補助は停止した犬の確保だけとする。
⑥ トレイル外へ犬が出た場合は、その時点で失格となる場合がある。
2項 レーススタッフの対処
① トレイルの内外を問わず公正な立場において危険と感じた時は、速やかに犬の確保に全力を傾けなければならない。
3項 ドライバーから離れた犬は誰でも確保できる。
5条 追い越し(パッシング)
1項 追い越すチームの競技者は、犬が追い越されるチームのおよそ15m以内に入ったとき、
「トレイル」のコマンドを掛けて優先権を行使できる。
2項 追い越されるチームの競技者は、追い越し路を確保し速度を落とさなくてはいけない。
又要求があれば停止する。
3項 追い越しチームが追い越し中に、タングル(犬同士が絡む)、トラブル発生の場合それを元に戻す時間として、
追い越されるチームに30秒、その場に停止することを要求できる。
4項 1度追い越されたチームは、次の各号の条件を満たすまで追い越されたチームを追い越せない。
但し、ドライバー間の合意がある場合は、この限りではない。
-再追い越し-
① 1分又は終了地点から100m通過後。
5項 追い越し完了後、追い越されたチームは次の各号の場合に上記4項にかかわらず追越することができる。
① 追い越したチームが用具の修理、ラインの修正のために停止しているとき。
② 追い越したチームが犬のトラブルで停止しているとき。
③ 追い越したチームが4項の時間、距離、を満たす前にコースアウトしたとき。
6項 2チームが同時に停止している時、同時に追い越すことができる。
追い越される競技者は、追い越しチームの為に道を開け、最善の処置を講じなくてはならない。
7項 追い越されたチームは、追い越したチームに最低1チーム分以上の間隔を確保しなければならない。
8項 「No-Right-Of-Way-Zone」で、追い越されるチームは停止及びトレイルを譲る必要はない。
9項 追い越し中のトラブル回避のため為に競技者は互いに助け合うことが出来る。
10項 マススタートの場合は、9項のみ適用となる。
第4章 ルール違反
1条 レーススタッフによる報告
1項 レーススタッフはルール違反があった場合は、その旨をレースマーシャルに報告しなければならない。
2項 レースマーシャルはレーススタッフからルール違反の報告を受けた場合、それに対して自由に決定権を行使できる。
最終決定権は、レースマーシャルにある。
3項 レースマーシャルは、報告された違反に対し、競技役員会を開くことができる。
2条 レース参加者による報告
1項 参加者にルール違反のあったことを報告するドライバーは、その違反のあったヒート中にできるだけ早く口頭で
その旨を告知しなければいけない。
2項 1項の口頭による告知をした競技者は、レースマーシャル若しくは、レーススタッフの要求がある場合は、
書面にて1時間以内に報告しなければならない。
3条 抗告と競技委員会
1項 ルール違反を報告されたドライバーは、抗告のための競技委員会を要求できる。
第5章 チーム構成
1条 カニクロスチームは単独で走る競技者と1頭の犬で構成される。
補足)
カニクロスに関しては日本国内でのレース開催経験がほとんどなく、開催するごとにルールの見直しをすることを前提に必要最低限のルールを制定。