ソリ犬の理想のカロリー比
- JFSS事務局
- 2017年6月8日
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更新日:7月10日
ソリ犬の理想のカロリー比って知ってますか?3大栄養素であるタンパク、脂肪、炭水化物からエネルギーとして得る理想のカロリー配分です。 獣医のスポーツ栄養学によってスプリント犬ぞりの理想のカロリー比が説明されています。タンパク30%、脂肪55%、炭水化物15%を年間とおして摂取するのが理想のカロリー比だといいます。しかし、夏は気温が高く、運動量も少ないので、全体の食事の量は当然少なくなります。(あくまでもパーセンテージの比率ですのでおまちがえなく。)その犬の個体差や体調にもよりますが、一日の摂取カロリーは、ぐんと落ちて1000~1500kcalになっているはずです。 冬は寒さとトレーニングでの運動量から2500kcalくらいにはなると思います。ただしアラスカのような極寒地では-25℃以下が続く場合、犬の個体差にもよりますが、ラード、牛肉の脂身、脂の多い鳥の皮、鳥の脂肪、脂がのったビーバー肉などを与えなければ、どんどん痩せていきます。この場合カロリー比率は多少崩れてしまいますが、犬を痩せさせないためには仕方ありません。そうなると1日3000kcalを超えることもよくあります。また、長距離レースのアイディドウラッドでは、1日7000kcalを目安に、-30以下の極寒になると10000kcalを与えることもあるそうです。
よくドライフードの袋にタンパク質30%、脂肪20%などと書かれていますが、それはタンパク、脂肪、水分、炭水化物、灰分、繊維質など中に入っている量(重量)のパーセンテージです。カロリー比率ではありません。(これを参考に計算します)
生き物から自動車や飛行機などの機械まで、運動したり、動かしたりするためにはエネルギーが必ず必要になります。人間はもとより犬達は3大栄養素のタンパク、脂肪、炭水化物からエネルギーを作ります。カロリーは栄養学での熱量の単位です。
3大栄養素であるタンパク、脂肪、炭水化物1gあたりのカロリーは タンパク質1gあたり4kcal 脂肪1g⇒9kcal 炭水化物1g⇒4kcalを摂取できるわけですから、例えばドライフードの袋に表示されているタンパク30%、脂肪20%、炭水化物30%のドイフードを与えているなら、ドライフード500g中のカロリー計算は
タンパク 500g×30%=150g⇒600Kcal(150g×4kcal)カロリー比は28.57% 脂肪 500g×20%=100g⇒900kcal(100g×9kcal) カロリー比は42.86% 炭水化物 500g×30%=150g⇒600kcal (150g×4kcal) カロリー比は28.57%
このドライフード500g中の全カロリーは2100kcal(600kcal+900kcal+600kcal)だということになります。そのほか、エッグ、オイル類、栄養補助食品も表示されている栄養バランスを計算して1頭の犬が1日何キロカロリー摂取していて、カロリー比はどれくらいになるのか計算してみてください。
しかし…。 理想のカロリー比にするために、どうしてもタンパクのカロリー比率を上げなければなりません。実はこれが大変難しいことなのです。肉を増やせばタンパク質もアップしますが、それ以上に脂肪も必然とアップしてしまいますからね。世界中のドライフード会社が悩んでいるのがこの問題です。タンパクの比率をあげるには、ものすごくコストがかかってしまうのです。どおりで犬ぞり用というかスポーツドッグ用のハイプロテイン(タンパク質が多い)のドライフードは値段が高いわけです。
一番安くタンパク質の比率を上げる為には新鮮なフイッシュミール(魚粉)です。しかしどんなに理想を追求しようとしても理想のカロリー比に近づけるのはむずかしいのが現状です。牛乳からチーズを作る過程で取れるホエールプロテインや他の良質のプロテイン(ステロイドやホルモンなど含まないもの)など加えればよいのでしょうが、それらは高価なので、犬達にそこまでお金を掛けていられませんよね。
ドライフードと生肉の他、栄養補助食品、フイッシュミールなどタンパク比率をあげるために、上手く調整して極端にお金を掛けないならば…
せいぜいタンパク27%、脂肪58%炭水化物15%が上限でしょうか。
これが極端にお金をかけない理想のカロリー比なのかもしれませんね。